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病理学的検査 - 細胞診検査

2020/11/20→大原 2018/12/14 - - - - - 2018/12/14 - - - - - 未確認 -

細胞診検査注記

細胞診検体採取上の注意

検出すべき細胞を効率よく収集し,診断に最適な標本を作製してください。 細胞の変性,融解をおこさないよう,採取後直ちに塗抹・固定を行ってください。

依頼書の記入要項

【A4版4枚綴り 1・2枚目 提出用/ 3・4枚目 病医院控え】

※ ご出検時に提出用 (1枚目,2枚目) を剥がして,ご提出ください。
※ 枠内に楷書体で,黒のボールペンで,ご記入のほどお願い致します。
※ ご依頼情報を報告書に取り込みますので,ご報告時に依頼書の返却はございません。

病理診依頼書
  • カルテ No.,氏名,生年月日をご記入ください。
    • 氏名はカタカナで,濁点・半濁点も本体の文字に含めてご記入ください。
      (エンボスは機械処理出来ませんので出来ましたら黒ボールペンでのご記入をお願い致します。)
    • 生年月日は西暦・和暦どちらでも結構です。
  • 性別,年齢,提出日,ご担当医をご記入ください。
    • マス目に斜線のある項目は点線に沿ってご記入ください。
      (レ点,○印等は機械処理出来ません。)
  • いずれかの採取器具にチェックしてください。
  • ご依頼項目をチェックしてください。
  • ご出検いただいた材料を選んでチェックしてください。 ※原則,1依頼につき1材料です。
  • 臨床所見,問題点,既往等を,ご記入ください。 (スキャナーにて報告書に取り込まれます。)
    • A. スクリーニング,検診の場合は項目 (マス目) へのチェックのみで結構です。
    • B. 婦人科材料のご提出の際にご記入ください。
    • C. 乳腺材料のご提出の際にご記入ください。(左右の場合は依頼書が2枚になります。)
    • D. 甲状腺材料のご提出の際にご記入ください。
    • E. 呼吸器材料のご提出の際にご記入ください。

※赤字表記は必須項目です。

検査結果の報告

「細胞診報告書」の検査結果,所見,細胞成分,細胞検査士名等を記入して報告いたします。 なおClass判定について,Ⅰ,Ⅱを陰性,Ⅲ,Ⅲa,Ⅲbを疑陽性,Ⅳ,Ⅴを陽性と読み換えることが可能です。 又,ClassⅡR (陰性再検) 必要に応じて使用します。

1. Class判定

Class Ⅰ
: Abscence of atypical or abnormal cells.
Class Ⅱ
: Atypical cytology but no evidence of malignancy.
Class Ⅲ
: Cytology suggestive of, but not conclusive for maignancy.
Class Ⅲa
: Probably benign atypia.
Class Ⅲb
: Malignancy suspected.
Class Ⅳ
: Cytology strongly suggestive of malignancy.
Class Ⅴ
: Cytology conclusive for malignancy.

2. 細胞診

(肺癌取扱い規約 (2017年1月) 第8版に準拠)
肺がん検診における喀痰細胞診の判定基準と指導区分 (2016改訂)
判定区分 細胞所見 指導区分
A 喀痰中に組織球を認めない 材料不適,再検査
B 正常上皮細胞のみ
基底細胞増生
軽度異型扁平上皮細胞
綿毛円柱上皮細胞
現在異常を認めない
次回定期検査
C 中等度異型偏平上皮細胞
核の増大や濃染を伴う円柱上皮細胞
再塗抹または6ヵ月以内の再検査
D 高度 (境界) 異型偏平上皮細胞または悪性腫瘍の疑いある細胞を認める 直ちに精密検査
E 悪性腫瘍細胞を認める
注
  • 喀痰1検体の全標本に関する総合判定であるが、異形細胞小数例では再検査を考慮する。
  • 全標本上の細胞異型の最も高度な部分によって判定する。
  • 偏平上皮細胞の異型度の判定は異型偏平上皮細胞の判定基準 (表5) ,および細胞図譜を参照して行う。
  • 再検査や追加検査が困難な時には,次回定期検査の受診を勧める。
  • D・E判定で精密検査の結果,癌が発見されない場合には常に厳重な追跡を行う。
表5. 喀痰細胞診における異型扁平上皮細胞および扁平上皮癌細胞の判定基準 (2016改訂)
判断区分 出現様相 細胞質染色性 細胞質の光輝性 細胞質の厚み・構造 細胞形 細胞の大小不同 N/C比1) 核形 核の大小不同 核縁2) 核数 クロマチン量3) クロマチン分布・パターン 核小体
B 軽度異形
扁平上皮細胞
多くは孤立性 ほとんどOG好性,淡性 均質 小リンパ球の2倍程度まで,類円形ないし多辺形 目立たない 小〜中 小リンパ球まで,類円形 目立たない 円滑 軽度
増量
ほぼ
均等
不明
C 中等度異形
扁平上皮細胞
多くは孤立性 ほとんどOG好性,ときに重圧感のある染色性 ときにやや厚みあり,ときに不整な構造 小リンパ球の2倍程度まで,類円形ないし多辺形,ときに奇妙な形 目立たない 小〜中 小リンパ球まで,経度不整まで 目立たない やや
不整
ときに
多核
軽度
増量
ほぼ均等 ときに
認める
D 高度 (境界) 異形
扁平上皮細胞
孤立性,不規則配列の細胞集団,ときに細胞相互封入像 ほとんどOG好性,一部LG好性,重厚感のある染色性 ときに橙黄色 (レモンイエローなど) の光輝性 厚みあり,不整な構造,ときに層状構造 小リンパ球の2倍から4倍程度まで,類円形,多辺形,奇妙な形など多様 目立つ 小〜大 ときに小リンパ球を越える,不整やくびれ 目立つ 不整 しばしば
多核
中等度
増量
不均等分布,凝集 しばしば
認める
E 扁平上皮癌細胞 孤立性,不規則配列の細胞集団,しばしば細胞相互封入像 多様,OG好性,LG好性,重厚感のある染色性 しばしば橙黄色 (レモンイエローなど) の光輝性 不整な構造,顕著な層状構造 小リンパ球の2倍から5倍以上のものも,不整形,奇妙な形など多彩 著明,しばしば大型細胞 小〜大 しばしば小リンパ球の2,3倍,しばしば不整やくびれ 著明 粗剛 しばしば多核,多彩な核数,核の大小不同も著明 高度な
増量
不均等分布,凝集,濃縮核 しばしば
認める
OG:オレンジG,LG:ライトグリーン
注
  • N/C比“中”とはOG好性細胞で1/3,LG好性細胞で1/2とする。
  • 核縁“円滑”とは,「核縁で均一の厚みであること」,“不整”とは,「核縁の厚みが不均一で凸凹していること」,“粗剛”とは「核縁に不均等に著明なクロマチンの凝集を認め,核縁の厚みが際立って不均一であること」とする。
  • クロマチン量“中等度増量”とは「好中球の染色性と同程度の核濃度であること」とする。
  • 太字による記載は重視すべき細胞所見である。
  • 高度 (境界) 異形には一部癌が含まれている。

3. ベセスダシステム標準子宮頸部細胞診報告様式

結果 略語 推定される病理診断 英語表記 運用
1) 陰性 NILM 非腫瘍性所見,炎症 Negative for
intraepithelial lesion or
malignancy
異常なし:定期検査
2) 意義不明な異型扁平上皮細胞 ASC−US 軽度扁平上皮内病変疑い Atypical squamous cells of
undetermined significance
(ASC−US)
要精密検査:
  • HPV検査による判定が望ましい。
    陰性: 1年後に細胞診,HPV併用検査
    陽性:コルボ,生検
  • 6ヶ月以内細胞診施行
3) HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 ASC−H 高度扁平上皮内病変疑い Atypical squamous cells
cannot exclude HSIL
(ASC−H)
要精密検査:コルボ,生検
4) 軽度扁平上皮内病変 LSIL HPV感染軽度異形成 Low grade squamous
intraepithelial lesion
5) 高度扁平上皮内病変 HSIL 中等度異形成高度異形成上皮内癌 High grade squamous
intraepithelial lesion
6) 扁平上皮癌 SCC 扁平上皮癌 Squamous cells carcinoma
7) 異型腺細胞 AGC 腺異型または腺癌疑い Atypical glandular cells 要精密検査:
コルボ,生検
頸管および内膜細胞診
または組織診
8) 上皮内腺癌 AIS 上皮内腺癌 Adenocarcinoma in situ
9) 腺癌 Adenocarcinoma 腺癌 Adenocarcinoma
10) その他の悪性腫瘍 other malig. その他の悪性腫瘍 Other malignant
neoplasms
要精密検査:病変検索

標本作製方法と固定法

材料 固定法 (※1) 作製方法
婦人科材料
外陰・子宮腟部・頸部擦過・子宮内膜吸引,擦過・その他
湿固定
(1枚)
塗抹後直ちに固定。乾燥厳禁。綿棒採取の場合は,綿棒をスライドグラス上に押しつけ,しぼり出すように回転させて塗抹する。 固定前に乾燥しやすい場合は,あらかじめ生理食塩水で綿棒に湿らせておく。 (※3)
喀痰 湿固定 (※2)
(2枚)
専用容器 (ℓあるいはf) に採取する。朝起きたら,痰を出す前にうがいをして,口の中をきれいにする。深く息を吸い,大きな咳をして痰を出す。 専用容器に痰を出し,ふたをしつかり締めて転倒混和する。 (※4)
生検捺印 湿固定 (2枚) 捺印塗抹法 (※5) にて迅速に塗抹し,直ちに固定。乾燥厳禁。
擦過物 (気管支他) 湿固定 (2枚) ブラシまたは鋭匙などで掻爬した擦過物を迅速に塗抹し直ちに湿固定する。
穿刺吸引物
1. 乳腺,甲状腺,関節液等
2.造血器,リンパ節等
湿固定および乾燥固定
(2~4枚)
スライドグラス上に,直接注射針先より検体を吹き出し,直ちに湿固定する。白血病あるいはリンパ腫の疑いがある場合は乾燥固定標本が必要。 この場合スライドグラス上に直接注射針より検体を吹き出し,針先で軽く拡げた後,迅速に冷風ドライヤー,あるいは冷風にて乾燥させる。 また,1と同様の方法で湿固定標本も最低1枚は作製する。
胆汁,膵液,十二指腸液 湿固定 (2枚) 検体は氷冷した容器に採取し,1500rpm,5分間遠心後,沈渣物をスポイトあるいはキャピラリーにてスライド上に滴下しすり合わせ,塗抹法 (※5) で塗抹し,直ちに固定。
尿 (自然尿,導尿) 湿固定 (2枚) 1500rpm,5分間遠心し,沈渣物をスポイトあるいはキャピラリーにてスライドグラス上に滴下し,吸入先で軽く拡げ直ちに固定液に投入する。 (※6)
髄液 湿固定 (1枚)
乾燥固定 (1枚)
1000rpm,3分間遠心し,沈渣物をスポイトあるいはキャピラリーにてスライドグラス上に滴下し,吸入先で軽く拡げ冷風ドライヤー,あるいは冷風にて迅速に乾燥させる。
洗浄液 (気管支,膀胱他) 湿固定 (2枚) 1500rpm,5分間遠心し,沈渣物をすり合わせ塗抹法 (※5) で直ちに湿固定する。
胸水,腹水,心嚢液など 湿固定 (2枚)
乾燥固定 (2枚)
1500rpm,5分間遠心する。バフィーコートあるいは沈渣物をスポイトあるいはキャピラリーにてスライドグラス上に滴下し,末梢血液式塗抹法 (※5) あるいはすり合わせ塗抹法にて塗抹する。2枚を湿固定,2枚を乾燥固定とする。
  • (※1)
    • 湿固定法
      婦人料材料:迅速に塗抹後,直ちに95%エタノール固定液に投入し固定する (乾燥厳禁,固定後ご提出ください)。
      喀痰以外のその他の材料:塗抹後,直ちに95%エタノール液で固定後ご提出ください。
    • 乾燥固定後
      塗抹後,迅速に冷風ドライヤーなどで乾燥させる。
  • (※2) 必要に応じて乾燥固定。
  • (※3) スライドグラスに部位を記入すること。
  • (※4) 痰と「唾液」は異なる。「唾液」は検査不能。
  • (※5) 下記塗抹方法参照。
  • (※6) 材料名を必ず記入。

塗抹方法

  • 末梢血液式塗抹法 (引きガラス法)
    検体を1500rpm,5分間遠心後,上清を完全に取り除き,沈渣物をスポイトあるいはキャピラリーにてスライドグラス上に滴下し塗抹します。
  • すり合わせ塗抹法
    検体を1500rpm,5分間遠心後,上清を完全に取り除き,沈渣物をスポイトあるいはキャピラリーにてスライドグラス (A) 上に滴下し,これを他の1枚のスライドグラス (B) にてはさみ前後左右に引いて延ばすように塗抹します。
  • 捺印塗抹法
    組織片の新鮮な割面にスライドグラスを圧着させて,塗抹します。
    組織片はピンセット等で軽くつまみ,圧挫しないように注意しながら塗抹してください。
塗抹方法
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