現在のラボ:SRL Advanced Lab.FMA

項目コード:専依
検査項目
JLAC10
FISH(Fluorescence in situ hybridization)
蛍光 in situ ハイブリダイゼーション
蛍光色素で標識したプローブを用いて標的DNAとハイブリダイゼーションを行い、特定の波長で発色させた蛍光部位を染色体上のシグナルとして蛍光顕微鏡下で検出する方法。
蛍光色素で標識したプローブと標的DNAを直接結合させる直接法と、標識物質で標識したプローブと標的DNAを結合させた後に、標識プローブと蛍光物質を結合させて発色させる間接法がある。
※1
N005(01)
HER2遺伝子標本作製(単独の場合)
病理判断料130点
[オブジェクトケース]
プレパラート (スライドグラス)
貯蔵方法:室温
項目コード | 検査項目 | 時間 |
---|---|---|
00A08 2 0A08 4 A883 1 576937 | エストロゲンレセプター (IHC) | 6 ~ 48時間 |
00A12 7 0A12 6 A891 2 577037 | プロゲステロンレセプター (IHC) | 6 ~ 48時間 |
00A16 3 0A16 5 A899 4 577137 | エストロゲンレセプター/プロゲステロンレセプター (IHC) | 6 ~ 48時間 |
00A28 0 0A28 5 B004 5 577437 | 乳癌HER2遺伝子 (FISH) | 24 ~ 48時間 |
遺伝子の増幅は悪性フェノタイプの獲得及び維持に使われる蛋白を過剰生産しているがん細胞の特徴である。発がん遺伝子の増幅は多くの悪性腫瘍の進行に重要な役割を果たすことが知られている。これらの増幅を検出・測定することは診断において、また、予後をはかる上でも重要である。
HER2遺伝子はヒト17番染色体に存在し、細胞の分化・増幅・生存の制御に関与しており、腫瘍の増幅において重要な役割を果たしている。乳がん、卵巣がん、子宮がん、胃がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、前立腺がん等でHER2遺伝子の増幅またはタンパクの過剰発現が報告されている。HER2遺伝子の増幅や過剰発現は乳がんの急速な浸潤、低いエストロゲン受容体量、悪性度の高い浸潤性乳管がんと関連し、この遺伝子が乳がんの浸潤に重要な役割を演じていることが知られている。また、25~30%の乳がん、子宮がんでHER2遺伝子の増幅が見られ、10~30%の浸潤性乳がんでHER遺伝子の増幅、またはHER2タンパクの過剰発現が観察されている。一般にこのような患者はその予後不良であると言われている。
本検査はHER2/neuタンパク(染色法)同様、ハーセプチン*の治療対象となる患者のスクリーニングに適しており、「HER2遺伝子増幅あり」と判定された場合には、「ハーセプチン(トラスツズマブ)の治療の適応あり」とされる。なお、本検査で「HER2遺伝子増幅あり」と判定された症例におけるハーセプチンの奏効率は34%であると言われている。
*ハーセプチン(トラスツズマブ)は、HER2タンパクを標的としたヒト化モノクローナル抗体で、HER2/neuタンパクを過剰発現している腫瘍細胞を標的として特異的に結合することにより腫瘍細胞の増殖を阻害する。がんを正常細胞もろとも攻撃する従来の抗がん剤の難点であった重篤な副作用を回避できるのが大きな利点で、初のモノクローナル抗体の抗がん剤として2001年4月に医薬品承認された。
測定法文献
D. L. Persons, et al:Ann Clin Lab Sci 30(1):41~48, 2000.
臨床意義文献
乳癌・胃癌HER2病理診断ガイドライン 第2版:2021年4月.