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○乳癌HER2タンパク(IHC)4B5
項目コード:0A8237
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検査項目
JLAC10 - 提出材料
- 検体量
- 容器
- キャップ
カラー - 保存
(安定性) - 所要
日数 - 実施料
判断料 - 検査方法
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乳癌HER2タンパク(IHC)4B5
5D590-0000-075-666 -
未染標本スライド
- 未染標本スライド4枚
- Z10
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- 7~9
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690
※8
- 免疫組織化学染色法
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乳癌HER2タンパク(IHC)4B5
備考
#1
乳癌 HER2 タンパク(IHC)4B5 の提出方法
1) 癌細胞の有無が不明な場合もありますので、検査依頼時に病理診断書(コピー)の添付をお願いいたします。(ただし、当社で一般病理検査を実施している場合は不要です。)なお、諸事情により添付できない場合には、依頼書に病理診断名(組織型等)の他、臨床情報等可能な範囲での記載をお願いいたします。
2) 材料は乳癌(原発巣または転移巣)の未染標本スライド(ホルマリン固定パラフィンブロックから作製されたもの)となります。シランなどのコーティングスライドをご使用のうえ、薄切後は約 40℃で一晩乾燥させた後、速やかにご提出ください。高温での乾燥は、60℃で 30 分以内の処理を推奨します。長時間、高温に置くことは避けてください。
3) 脱灰処理を行った検体については、正しい結果が得られないため、ご依頼いただけません。
4) 固定時間は 10%中性緩衝ホルマリンで 6~72 時間以内(生検標本の場合は検体の大きさに準ずる。)が望ましいとされています。
5) 組織は 4μmの厚さに薄切し、なるべく中央に貼り付けてください。
6) パラフィンブロックでご依頼の場合、未染標本スライド作製のため所要日数が遅れますので、営業員へご確認ください。
診療報酬
N002(03)
HER2タンパク〔半定量法又はEIA法(酵素免疫測定法)〕
病理判断料130点
- 「免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製」は、病理組織標本を作製するにあたり免疫染色を行った場合に、方法(蛍光抗体法又は酵素抗体法)又は試薬の種類にかかわらず、1臓器につき1回のみ算定する。
- 「HER2タンパク」は、半定量法又はEIA法(酵素免疫測定法)による病理標本作製を行った場合に限り算定する。
- 「HER2タンパク」は、化学療法歴のある手術不能又は再発乳癌患者に対して、過去に乳癌に係る本標本作製を実施した場合であって、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体抗悪性腫瘍剤の投与の適応を判定するための補助に用いるものとして薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品を用いて、HER2低発現の確認により当該抗悪性腫瘍剤の投与の適応を判断することを目的として、本標本作製を再度行う場合に限り、別に1回に限り算定できる(乳癌に係る初回の本標本作成を令和6年3月31日以降に実施した場合にあっては、令和8年5月31日までの間に限る。)。なお、再度免疫染色が必要である医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
容器
Z10 旧容器記号 t 30
[オブジェクトケース]
プレパラート (スライドグラス)
貯蔵方法:室温
補足情報
スコアリング基準
スコア | 乳癌・胃癌HER2病理診断ガイドライン 第2版(2021年4月)染色パターン |
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0 | 染色像が認められない または、≦10%の腫瘍細胞にかすかな/かろうじて認識できる不完全な膜染色が認められる |
1+ | >10%の腫瘍細胞にかすかな/かろうじて認識できる不完全な膜染色が認められる |
2+ | >10%の腫瘍細胞に弱/中等度の全周性の膜染色が認められる |
3+ | >10%の腫瘍細胞に強い完全な全周性の膜染色が認められる |
臨床意義
HER2検査は乳癌において非常に重要であり、ホルモンレセプター(HR)や腫瘍の状態と組み合わせることでHER2陽性、Luminal、トリプルネガティブなどのサブタイプ分類や薬剤の適応判定補助に用いられます。
2023年3月に抗HER2薬の一つである「トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ®)」が「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌」に対して適用拡大されました。
「HER2低発現:HER2-Low」とは、HER2検査の結果において「IHC法1+ または IHC法2+かつISH法陰性」が該当します。
本検査はエンハーツ®のコンパニオン診断薬として承認されたロシュ社「ベンタナ ultraView パスウェーHER2(4B5)」を用いることにより、既存の抗HER2薬に加え、エンハーツ®のHER2低発現乳癌に対する適切な投与を行うための判定の補助として用いることができます。
異常値を示す病態・疾患
関連疾患
乳癌
参考文献
測定法文献
名倉 宏,他:渡辺・中根 酵素抗体法 改訂四版(学際企画):147~150, 2002.
臨床意義文献
Modi S et al:N Engl J Med 387(1):9~20, 2022.