現在のラボ:セントラルラボ

項目コード:05831 3(旧 5831 2)
検査項目
JLAC10
PCR(Polymerase chain reaction)
DNAが加熱により2本鎖から1本鎖に解離し,冷却することで2本鎖に戻ることを利用し,1本鎖DNAを鋳型として目的のプライマーを結合させ,DNAポリメラーゼの転写反応によりDNA合成を行うことを繰り返し,目的とするDNA領域を指数関数的に増幅させる方法。
血液:凍結保存は避けてください。化学療法などにより細胞数が減少している場合は,必要量のDNAが抽出できない場合がありますので,あらかじめご了承ください。本検査方法ではコンタミネーションの影響がより大きくなりますので,検体採取にあたっては取り扱いに充分ご注意ください。
下図の容器に採血し,よく混和させ,冷蔵保存してください。
本検査方法ではコンタミネーションの影響がより大きくなりますので,検体採取にあたっては取り扱いに充分ご注意ください。
EDTA-2Na入り (真空採血量7mL)
内容:EDTA-2Na 10.5mg
貯蔵方法:室温
有効期間:製造から2年
HTLV-Ⅰは,成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスとして発見され,さらにHTLV-Ⅰ関連脊髄症(HAM)や慢性肺疾患,関節炎,ぶどう膜炎などとの関連が明らかにされ,他臓器癌,糞線虫症などへの関与も指摘されている。ATLのキャリアから発症は,約750人から2,000人のキャリアの中から1年につき1人の発症が推察されている。キャリアからのATLの発症はほとんど母子間感染例であり,成人以降にHTLV-Ⅰに感染した場合,ATLを発症する可能性は極めて低いとされている。
HTLV-Ⅰの血清学的検査の目的は,白血病・リンパ腫などの血液疾患や脊髄症を含む種々の病態におけるHTLV-Ⅰの関与の検討や,献血者や妊婦のスクリーニングによるキャリアの発見と輸血や母子間の感染の予防およびHTLV-Ⅰウイルスの地域的な漫淫度と,その感染経路の解明のための疫学調査などに用いられる。
HTLV-Ⅰ抗体の測定にはゼラチン凝集法(PA法),化学発光酵素免疫測定法(CLEIA),蛍光抗体法(FA法),ウェスタンブロット法(WB法)などがある。PA法は簡便で多数の検体を測定できるため,献血者スクリーニングに適しているが,低力価での偽陽性,非特異反応などが問題である。よって,一つの方法のみの判断では危険であり,FA法,WB法での確認を行い,病名や家族歴を確認したり,経過観察も必要である。またHTLV-Ⅰ抗体陽性の場合,その個人はHTLV-Ⅰに感染していると判断できる。ただし,ATLと最終診断するためのウイルス学的検査としてはリンパ球(末梢血またはリンパ節細胞)の内部にHTLV-ⅠプロウイルスDNAがモノクローナルに組み込まれていることをサザン法用いて証明する必要がある。
ATL, HAM, HTLV-Ⅰ関連疾患
測定法文献
畑中 正一 他:蛋白質核酸酵素 35-17-3055~3060 1990
臨床意義文献
小林 信之:医学のあゆみ 162-9-554~558 1992